辻村深月先生の小説『傲慢と善良』を紹介します。
現代の恋愛と結婚をテーマにしたミステリー小説ですが、それだけでは済まされない。
人が何かを選ぶときのリアルな感情が深く掘り下げられています。
誰もが他人事ではいられない、まさに「刺さる」作品です。
『傲慢と善良』の概要
- タイトル:傲慢と善良
- 著者:辻村深月
- 出版社:朝日新聞出版
【登場人物】 ・西澤架 本作の主人公。婚活で真実と出会い結婚式に向けて準備をしている。 ・坂庭真実 架の婚約者。ストーカー被害にあっていて、ある日、姿を消してしまう。
婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。生きていく痛みと苦しさ。その先にあるはずの幸せ──。2018年本屋大賞『かがみの孤城』の著者が贈る、圧倒的な“恋愛”小説。
引用元:朝日新聞出版HP(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20714)
『傲慢と善良』のテーマ
ミステリーと恋愛、2つのテーマをメインに話が進んでいきます。
- 婚約者の真実はなぜ、どこに消えたのか?
- 恋愛や結婚がうまくいく人とうまくいかない人の違いとは?
こんな人におすすめ
『傲慢と善良』はこんな人に読んでいただきたいです。
- 恋愛や結婚に悩んでいる方
- 甘いだけじゃない恋愛小説を読みたい方
- 少し変わったミステリー小説を読みたい方
おすすめポイント
消えた婚約者の行方を追うミステリー要素
結婚式の準備を進めている婚約者の真実が、突然、姿を消してしまいます。
真実がストーカー被害をうけていたことを知る架は、以前住んでいたアパート、警察、地元である群馬に向かい犯人と真実を追います。
はたして真実は無事なのか、どこで何をしているのか、明らかになっていく様子に引き込まれます。
現代の恋活と婚活のリアル
架や真実をメインに二人を取り巻く人たちの様々な恋愛における価値観が描写されています。
彼氏や彼女、結婚相手を探しているときに「なんかピンとこないな」と、感じたことはありませんか?
この小説ではその「ピンときた」、「ピンとこない」という感覚の正体を詳しく描写しています。
人が誰かあるいは何かを選ぶときにどのような考え方をしているか、誰もが共感できるはずです。
まさに「刺さる小説」です。
家族や友人との関係
恋愛だけでなく家族や友人との関係についてもリアルに描かれています。
皆さんも身に覚えがあることばかりだと思いますが、人間関係は好き嫌いだけのシンプルなものではありません。
信頼していたり、良い子でいたり、嫉妬したり、マウントをとったり、ポジティブもネガティブも全部ひっくるめて同居できるのが人間であることが冷静に観察できます。
特に真実の親子関係で描かれている「干渉」は必見です。
誰もが持ちうる「傲慢さ」と「善良さ」
本作の題名にもなっていますが、現代人が持ち合わせる「傲慢さ」と「善良さ」が深く掘り下げられています。
長所や短所というものが状況や世論によって、じわじわと、あるいはあっという間に反転してしまえることが実感できます。
読み進めるほどに共感と反感で感情が揺さぶられます。
辻村深月先生について
本作の著者である辻村深月先生は、今の時代を代表する小説家であることは間違いないと思います。
少し前に同じく辻村深月先生の「かがみの孤城」を読みましたが、本当によくできた物語でした。
まだ見に行けていませんが、映画も楽しみにしています。
辻村深月先生の今後の作品、とても楽しみですね。
おわりに
恋愛や結婚をメインに友人や家族関係など、様々なテーマを描いている『傲慢と善良』を紹介しました。
真実はどこに消えてしまったのか、2人はどうなってしまうのか。
どんどん引き込まれる内容なので、ぜひ、読んでみてください。
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