今村夏子先生の小説『むらさきのスカートの女』を紹介します。
第161回芥川賞受賞作品。
「むらさきのスカートの女」を観察する「わたし」の視点で話が進んでいきます。
読み進めていくうちに2人の印象が逆転していくのが面白い。
ほんのり不穏で、クスッと笑える、不思議な小説です。
『むらさきのスカートの女』の概要
- タイトル:むらさきのスカートの女
- 著者:今村夏子
- 出版社:朝日新聞出版
【登場人物】 ・わたし 本作の主人公。 「むらさきのスカートの女」と友達になるために行動する。 ・むらさきのスカートの女 いつも紫色のスカートを穿いており、近所では噂の有名な女性。
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない<わたし>は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導する。『あひる』『星の子』が芥川賞候補となった話題の著者による待望の最新作。
引用元:朝日新聞出版HP(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21033)
『むらさきのスカートの女』のテーマ
- 「むらさきのスカートの女」と「わたし」は、いったいどんな人物なのか
上記のテーマについて、「むらさきのスカートの女」を観察する「わたし」を観察する読者の構成で話が進んでいきます。
こんな人におすすめ
『むらさきのスカートの女』はこんな人に読んでいただきたいです。
- 手軽に物語を楽しみたい方
- 不思議な雰囲気を味わいたい方
- クスッと笑いたい方
おすすめポイント
物語全体のほんのりとした不気味さ
本作は主人公である「わたし」の視点で語られていきますが、読者の立場からするとどうしてもその「わたし」が信用できない。
その不信感が自然と「なにかが起きるのではないか」という物語全体の不気味さにつながっています。
読んでいてソワソワしてしまう不思議な雰囲気が楽しめます。
「むらさきのスカートの女」と「わたし」の印象の逆転
近所でも話題の変人である「むらさきのスカートの女」。
そんな変人と友達になるために観察を続ける「わたし」。
巧みな文章によって先入観を植え付けられている読者が、これまた巧みな文章によって「あれ?なんかおかしいぞ?」と気づき始める。
読者をみごとに操る、叙述トリックともいえる構成に脱帽です。
今村夏子先生について
話題になっている本作で、初めて今村夏子先生の小説を読みました。
なんと独特な雰囲気の小説を書く人なのだろうと思いましたが、本作に入っているエッセイを読んで、なんとなくその理由が感じられた気がします。
ほかの作品もそうなのでしょうか。読んでみたい。
おすすめがありましたら、ぜひ、教えてください。
おわりに
さすがは芥川賞受賞作。
物語全体に漂う不気味さのなかに驚きと笑いが散りばめられていて、飽きずに一気に読めてしまいます。
2人の女性はそれぞれどんな人なのか、ぜひ、お確かめください。
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